普段の日常で何気なく目にしている色。
例えば、赤い車を見て何を思いますか?
「赤い車だな」「派手だな」「近くに迫ってきてないか」と感じると思います。
このように色は人に沢山の影響を与えています。
そこで今回は、色が与える影響について解説していきます。
色彩心理学とは
本題に入る前に色彩心理学とは何でしょうか。
色彩心理学とは、色が人にどのような影響(心理や行動について)を与えているのかを研究する学問のことです。
例えば、同じ重さの箱が2つあります。ですが、箱の色は片方が「黒」でもう片方が「白」だとします。
どちらの箱が重そうに見えますか?
このように色は無意識に人に影響を与えています。
それでは、色が与える影響について解説していきます。
暖色と寒色
前回の「色彩とは?色彩について基本を学んでみよう!」の記事にも記載しましたが、色が与える影響として温度感覚があります。
赤系は熱さ(暑さ)・暖かさ・温もりを感じる暖色があり、青系は寒さ・冷たさ・涼しさを感じる寒色があります。
「色相」が温度感覚に影響を与え、次に「彩度」です。
彩度が高いほど寒暖感に大きく影響を与えます。
▼色彩の基本についてはコチラ▼
冬のお供のこたつ 発売当初は発熱部分が白かったのはご存じですか? 体感的に暖かくならないという声があり発熱部分を赤くしたところ人気商品になりました。 赤い色が体感的に暖かさをつくりました。
進出色と後退色
同じ大きさの「赤い車」と「青い車」があります。
どちらの車が迫ってきてるように見えますか?
赤い車の方が迫ってきてるように見え、青い車は少し遠くにあると感じませんか?
これが、進出色と後退色です。
赤、オレンジ、黄色などの暖色が進出色で、青などの寒色が後退色です。
なぜこのような現象が起こるのか? 可視光線の波長の長さがあり、暖色系は波長が長く近づいて見え、寒色系は波長が短いため遠くにあるように感じられるためです。
興奮色と沈静色
ここにいると楽しく感じられたり、または気分が落ち着くなと感じたことはありませんか?
これも色による影響です。
赤やオレンジなどの彩度の高い暖色系が「興奮色」で、青や紺色などの彩度が低い寒色系が「沈静色」です。
興奮色は、闘牛の赤い布やスポーツのユニフォームにも使われています。
格闘系のスポーツでは、赤いユニフォームを着る方が勝率が高いと報告があります。
沈静色は、気分を落ち着かせる紺色のスーツや集中力を発揮したいオフィスなどに使われています。
寝る前に彩度の高い赤を見続けるとすぐ眠れなくなるので気をつけてくださいね。(実体験)
時間が長く感じる色と短く感じる色
暖色系の内装のレストランにいて長くいたなと思って時計を見ると、実際はそんなに時間がかかってなかったと驚いた経験はありませんか?
この時間の感覚も色による影響です。
暖色系の空間は、実際の時間よりも長く感じます。
飲食店や美容室など、実際よりも長く感じることで満足感が得られ顧客満足度にもつながります。
寒色系の空間は、実際の時間よりも短く感じます。
時間の経過が短く感じられるため単調な仕事をする場合は寒色系の部屋が向いています。
また、短い時間で中身の濃い会議をしたい時も寒色系は使われます。
寒色系はリラックス効果があるので睡眠に誘われないように注意してくださいね。
膨張色と収縮色
白と黒の碁石があります。
こちらは、大きさが同じだと思いますか?それとも違うと思いますか?
実は黒い碁石は白い碁石よりも少し大きくつくられています。
これは、明度が高い方が大きく(膨張色)、明度が低い方が小さく(収縮色)見える視覚現象が起きているからです。
そのため、どちらも同じ大きさに見えるよう調整がされています。
着る色の服でも明度が高い色だと大きく見られ、明度が低いと引き締まったように見えます。 引き締まって見えるからといって黒など明度が低い服ばかりを全身に選ぶと重たく感じるので気を付けてくださいね。
派手な色と地味な色
派手、地味と感じるのも色による影響です。
彩度が高いほど派手な印象を与え、彩度が低いと地味な印象を与えます。
同じ赤でも、彩度が高いと派手な印象が強まり、逆に彩度が低いと地味な印象を感じます。
重い色と軽い色
「色彩心理学とは」に登場した箱が2つあります。
どちらの箱が重そうに見えましたか?
黒い箱の方が重く見えませんか?
実際は同じ重さですが、明度が高い色は軽そうに見え、明度が低い色は重そうに見えます。
この色の「軽重感」は明度によって変化します。
色相や彩度が変化しても、見ための軽重感はあまり影響しません。
白の箱を持ってみると、見ためとは逆に重く感じるかもしれません。
人それぞれではありますが、見ための軽そうな感じが先入観として働くためと考えられます。
実際に引っ越し屋さんとかで白の段ボールを使われている企業もあり、作業効率がアップしたと言われています。 黒と白の体感する重さは1.87倍違うと言われています。
柔らかい色と硬い色
こちらのボール、どちらが柔らかそうに見えますか?
左のボールが柔らかそうに見えて右のボールは硬そうに見えたと思います。
明度が高い色だと柔らかそうに見え、明度が低いと硬そうに見えます。
パステルカラーはベビー用品で見かけることが多いと思います。
我が子を大切にしたいという大人の心理で、パステルカラー=柔らかく優しい色とイメージするのでベビー用品は淡い色が多いのです。
逆に硬そうに見える色としては、頑丈で安定感があってほしいものに取り入れられます。
赤ちゃんはパステルカラーなどの淡い色は認識できません。周囲の人々が「ふわふわで肌に優しそうだ」と思いパステルカラーを選びます。 赤ちゃんには原色などのはっきりした色に反応するので、そちらを選ぶと良いでしょう。
おわりに
いかがでしたか?
ファストフード店の飲食店では、暖色系の内装を使用しています。
これは、短時間でも満足感が得られ回転率を高めるためです。
また、暖色は食欲増進の効果もあるので飲食店には心強い味方です。
色と温度に関する話しですが、同じ室温でも壁の色によって体感的な温度が変わるのはご存じでしょうか?
青い壁だと実際の温度より寒く感じ、オレンジや赤系の壁だと暑く感じます。
と、このように色は無意識に人に影響を与えています。
何気ない日常でも、どうしてここはこの色を使っているのだろうと考えてみると面白いと思います。
また、理解することで色を上手く活用できるのではないでしょうか?
最後に、当社ではデザイン制作やホームページ制作も請け負っています。お気軽にお問合せ下さい!
▼お問合せをクリック!▼